黒ふわ王子の愛し方
結局、バンドは大歓声に包まれて終わった。
なんだか私は放心状態で動けない。
何アレ…あんな祥悟くん、私知らないもん。
「…大丈夫?」
「…え?」
さっきの隣の人が声をかけてくれる。
「演奏中もなんかずっと黙ってたから…体調悪い?さっきも絡まれてただろ。」
「…あっ、あなた、助けてくれた人!どっかで聞いたことあると思った…。」
そっか、あたしこんな格好いい人に助けられてたんだ。
「さっきはありがとうございました!ホントに助かりました…。」
「いや、別に…。名前は?」
「あ、二条桜です。なにかお礼します。させてください…。」
すごく良い人。
ジュースでいいなんて…。たった120円なのに。
そんなものでいいのかな?