必見・夕暮れの陰陽部!【短編版】
ぎょっ、として、晴也は背後の女子トイレに視線をやった。
ん、ごくり、と息苦しいまでの遅さでゆっくりと固唾を飲む。
秀才眼鏡とバレー部の準エース。新しいカップル。
件の言葉が晴也の脳裏に鮮明に浮上する。
バレー部の準エース、細川は蒼白になって固まった晴也の肩を軽く叩いた。
「おい、黒田」
「な、なに……」
「大丈夫かよ、目が虚ろだぞ。眼鏡越しでもわかる」
「だい、大丈夫だよ……」
眼鏡、と細川に言われてますます、晴也は内臓を締め付けられる気分になった。
まさか、な。と晴也は全力で自分の予想を撤回した。
あの声の主は、小声でも判別できる。
そしてその人は、言ったのだ。
秀才眼鏡とバレー部の準エース、の、カップルが誕生した、と。
もう一度、まさかな、と唇を引き攣らせる。