必見・夕暮れの陰陽部!【短編版】
そんなことに気を遣ってくれるくらいならば、自分をホモの対象にするのをやめて欲しいものだ、と晴也は祈らんばかりに思う。
「んっと、花子お」
急に真剣な面立ちになり、吉郎は大盛り上がりの花子にさし向かった。
「あのさ、ここの部活動名は知っとるよな?」
「学校方士活動部、ですよね」
花子は淀みなく言った。
「そうそう。そんでな、うちの部は通称、陰陽部って言うてな……」
そうして吉郎は、晴也が入部した日と一寸たがわぬ説明をするのだった。存外にも、花子は萌えだとかホモだとかいう私情はいっさい挟んでこない。表情を掻き消し、鋭利な美貌になる。
彼女も、年がら年じゅう笑ほうけている笑われ用員ではないらしい。吉郎と同じに、ひとたび集中すれば雰囲気さえも一変するようだ。
ひとしきり話を聞き終えーー花子は「そうですか」と静かに口を切った。