必見・夕暮れの陰陽部!【短編版】
しかし、入部する部活動も決定しなくてはならないし、今はそちらを優先すべきだ。
なぜなら、所属する部活動は今日までに決め、その書類を提出せねばならない。
提出物は、内申に大きく影響してくる。
(部活動ねえ)
晴也が通っていた中学校にはボランティア部という部活動があり、点字だとか花の水やりだとかをを主な活動内容にしていた。
点字本以外は対して表彰もされない部だったが、心外にもボランティア部で行った活動は、悉く内申書に記されていたのだった。
ポイント稼ぎになるのだ。
もちろん、ボランティア部の部長を務めたこともある晴也も、それが鬼に金棒となった。
(でも、見たところボラ部なんてなさそうだ)
晴也はあまり運動は得手ではない。だからできれば文化系の部活動で功績をあげたい。
松陰高校は普通科と農業科があるため、農業科の実習用に用意された棟がある。
だから面積もそれなりにあった。
文化部の部室は、その広い校舎に散らばるようにして置かれている。
(どこにしようか)
ずらありと並べられたチラシを物色する。
ふと、
「これは……」
晴也はぼそりと呟いた。
部活動のチラシが一面に張られた窓。その一番右端に、筆文字で書かれた手書きのチラシが貼られている。
二、三歩ほど足を進めてそのチラシに歩み寄る。
和風に墨で書かれてはいるものの、やけに字が汚い。
『学校ほうし活動部』
大々的にそう記され、下には、『見に来てなー』とゆるんだ一言が付け加えられている。
奉仕活動とは、ボランティア部の事だろうか。
それしかないだろう。
なぜ奉仕が平仮名で記されているのかは不明瞭だが、それ以外のなにものでもなさそうである。