LOVE you VOICE
voice1
にわかに心地よい風が舞う
春半ば、
いつものように愛犬の梓を連れ
近くの公園へと足を運ぶ。
桜が満開になったその公園は
お花見客や家族でピクニックを楽しむ人で賑わっている。
「梓ー私たちも少し休もっか。」
「ワンっ」
まるで言葉がわかったかのように
梓は公園の桜の木の下にどっしりと寝そべった。
「ほんとにいい天気だねー」
桜の花びらの隙間から木漏れ日が溢れ出す。
うたた寝し始めた梓の体に身を寄せようとしたその時
『ガサガサっ』
『ワうんっ」
どこからともなく小さなトイプードルが
私たちの目の前に現れた。
真っ白いふわふわの綿菓子みたいなその子は
ためらいなく私の胸に飛び込んできた。