LOVE you VOICE
しばらく歩いてると
公園の奥の方にある桜並木の遊歩道まで来ていた。
「うわー、綺麗っ。」
そう思った瞬間
ものすごい勢いの風が吹き
『わうんっ』
トイちゃんが私の腕から軽快に飛び降りた。
「ちょっ・・・待って!」
風が過ぎ目の前を見ると
トイちゃんが男の人に抱きかかえられているのが見えた。
「お前どこに行ってたんだよ。すごい心配しただろう」
飼い主と思われるその人がトイちゃんを優しく抱きしめていた。
「あの、トイちゃんの飼い主の方ですか?」
私がそう尋ねるとその人はかぶっている帽子を少し上げ
私の顔を確認するかのように見つめてきた。
「トイちゃん?」
「あ、えっとトイプードルでトイちゃんって・・・」
「なるほど」
微笑しながら私の方を見つめ直し
「ありがとう、この子はハルって言うんだけど俺が少し目を離したすきにまいごになったみみたいで」