LOVE you VOICE
優しく微笑むその人は
お辞儀をしながら梓を撫でる。
「君も、ありがとう」
『ワンっ』
梓は嬉しそうにその人に寄り添う。
撫でられると嬉しそうにしっぽを振り
よほどその人を気に入ったのか
洋服を引っ張り近くにあったベンチへ
腰掛けさせる。
「梓、めっ!」
私がそう言うと梓は少し気まずそうにしながらも
やめようとしない。
「いいよ、俺もお礼がしたいし。」
「すいません・・・。」
すると今度はハルちゃんの方が
私の膝の上に座りなでてほしそうに擦り寄ってきた。
「ははっ、相当君のことが気に入ったみたいだね。」
そう微笑む彼は
梓を撫でながら、桜並木をおぼろげに見つめる。
こういうのを大人の色気って言うんだろうか・・・。