LOVE you VOICE
「よくここへわ来るの?」
彼は桜を見つめていた視線をこちらに向けなおし尋ねる。
私はコクリと頷き
ハルちゃんの体を優しくなでる。
「風がすごく気持ちよく感じられる場所だから」
すると彼はふふっと笑をこぼし
「同じだ・・・。」
俺も同じことを思ってたと
つぶやく。
それからどれくらい時間が経ったかはわからない。
彼と長いあいだ他愛のないことを話した。
初めて会った人なのにどこか懐かしくて
ここだけまるで時間が止まったかのようだった。
それから日が傾き始め
携帯を開くと午後5時とディスプレイに表示されていた。
「私、もう帰らないと・・・。」
名残惜しい気持ちを抑え
ベンチから立ち上がる。
それと同時に
彼の手が私の手を掴む。