小悪魔な彼女
「弟がね、誠が死んでしまったの、、。」


心愛は、辛そうに帰り道で呟いた。


「誠はね、、琉生の事知ってたんだよ。たまに病院から帰って来ると良く、琉生の中学校に行って琉生の練習みてた、、。わたしが中学生のサッカー何で見るのって聞いても無視するんだよね。」


「そうだったんだ..」

中学生の時に、心愛の弟が俺を見ていたなんて....

「で、あっさり眠るように亡くなった。今でも実感ないの、いつも病院に誠はいたから、、危篤だって聞いて病院行ったら、、誠いつものように眠ってるだけだと思った、、。ただ、もう目は開けてくれなかった。」


「最後まで、、誠は何で琉生を見に行ってたのか理由は教えてくれなかったけど、今なら何となく分かる。きっと琉生と誠はどこかで一緒にサッカーしたんだよ。」


心愛は、俺の顔を見つめて言った。


瞳が、夕方の光を浴びてキラキラしているけど、そのキラキラが涙になって溢れ落ちた。

「きっと、琉生みたいに自由にサッカーしたかったんだよ、、誠は。」


心愛は、俺の手を握り締めながらしゃがんで泣き始めた。


俺は、何も出来ずに..
ただ...彼女の手を強く握り締める事しか出来なかった。
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