未熟色の君たち
由香里は、優しくなりたいと言った。
あの日の川原で、夕陽みたいな優しい人になりたいと言った。
だけど俺は、亜実のことをを気遣い、笑顔を見せた由香里は、優しいと思う。
二人に頑張って笑顔を見せた由香里は、もう充分優しいと俺は思う。
俺は、由香里の一歩うしろを歩く。
小さくなってしまった背中が、泣いてるみたいだ。
無言のまま、駅までの道を歩いた。
道路を走り去る車も、歩道を行きかう人や自転車も。
今の由香里には、別の世界のものなのかもしれない。
由香里は今、自分の中にある悲しみの世界で足を踏ん張っている。
寂しさになんか負けたくないって、両足を踏ん張ってる。