未熟色の君たち


清水は、ハンバーグを食べ終わると今度はタマゴ焼きをジーっと見る。

どんだけ食いしん坊なんだ、この人。

「タマゴ焼きも、食べる?」

私は、少しずつ込み上げる可笑しさを堪えなながら、窺うようにして訊ねる。
すると清水は、ニンマリと頷いた。

清水って、変な奴。
でも、ちょっと面白いやつかも。


これをきっかけに、私と清水はよく話をするようになり、仲良くなっていった。

一ヶ月も経たないうちに、清水という呼び名は、芳成に変わり。
私は、由香里と呼ばれるようになっていた。

話すうちにわかったのは、芳成もこのクラスに知り合いが一人も居らず、休み時間ごとに自分と同じように一人でぽけーっとしている私が気になったらしい。

高校初日に、唯一、玄関でぶつかった佐藤亜実ちゃんとは、時々話をするとか。


< 22 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop