未熟色の君たち
「ゆかりっ! かえせっ」
芳成が追っかけてくる。
ケラケラ笑いながら走る廊下。
追いかけてくる芳成は、怒ってるんだけど笑っている。
ケタケタ
ケラケラ
ダッシュで階段を駆け下り、息を切らせて玄関へ到着。
そこで、とうとう傘を奪い取られた。
「ゲットーーー!!」
芳成は、サッカーのシュートでも決めたみたいに、自分の折り畳み傘を高々と掲げ勝利のポーズをしている。
それから、勝ち誇った顔を私に向けた。