未熟色の君たち


「しかたねぇから入れてやってもいいぞ」

今度は、芳成がニタニタと笑う。

うぅ~っ。
悔しいっ。

飛びつくようにして手を伸ばしても、背の高い芳成が持つ傘には届かない。

芳成と二人、そんな風にして玄関で騒いでいた時だった。

「これ。よかったら使って」
「へ?」

後ろから聞こえてきた声に、私は間抜けな声を出して振り返った。


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