未熟色の君たち
欲しかったんだ
旬 亜実
由香里 芳成
高校初日。
初めての高校生活に、緊張と期待を抱えて玄関に辿り着いた。
私と同じような感情を抱えた新一年生が、他にもたくさんいる。
ローファーを脱ぎ、上靴に履き替えると、そこへ五人組が現れた。
仲良さそうにはしゃぎ、脇腹を突いたり、蹴りあうマネをして、ふざけあいながらこっちへ向かってくる。
その一人の肘が、ローファーを下駄箱へ入れようとした私の肘に当たった。
そのせいで、片方のローファーが手から零れ落ち、タンッと乾いた音を立てた。
「あっ、ごめん」
ぶつかってきた相手はすぐに謝り、落ちたローファーを拾い上げる。
「ここ?」
それから、私の下駄箱の場所を訊き小さく頷くと、拾ったローファーをそこへ収めた。