未熟色の君たち


「行くぞー。旬」

同中なのだろうか、慣れた様に下の名前を呼ばれて、その彼はすぐにその輪に加わる。
真新しい制服に身を包んだ五人組は、教室への階段を楽しそうに上っていった。

私は、その背中を。
旬と呼ばれた彼の背中を。

早くなる鼓動のリズムを聴きながら、ただ見送っていた。


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