未熟色の君たち


「ねぇ。同じ一年だよね?」

卸したての上靴を見て訊ねてみた。
訊くと、私と同じクラスだという清水吉成君。

「私、佐藤亜実。これからよろしくね」

清水君にそう告げて、私は旬と呼ばれていた彼の後を辿るように階段を駆け上がった。

階段を駆け上がりながら、旬君と同じクラスならいいのに、という儚い想いは呆気なく崩れ去る。

彼の姿は、隣のクラスの前にあった。


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