未熟色の君たち
「大崎君。由香里ちゃん、なかなか来ないね……」
「うん……」
情けないよな、俺。って小さくこぼしたその言葉に、我慢の限界が来てしまった。
「由香里ちゃん。清水君のことが好きなのかもね」
そんな事を言いだした自分が信じられなかった。
殺人なんかした事ないけど、人を刺しちゃったみたいに体が小さく震えだす。
こんな事を言ってしまう自分に驚愕している。
なのに、言葉は止まらなかった。
一度壁を乗り越えてしまったら、あとは一緒なのかもしれない。
どんな罪も、乗り越えてしまったら、そのあとはもう一緒なのかもしれない。
「私だったら、大崎君にそんな顔なんてさせないんだけどな」
ゆっくりと大崎君と私の視線が合う。
言葉の武器を陰で使った私の心は、ズキズキと痛んだ。
だけど、それでもなんでも由香里ちゃんに負けないくらい大崎君を好きなんだ。
私は、ずっとずっと旬君が欲しかったんだから――――。