ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜
よかった……。
意外にあっさりと立ち去ったエヴァンの後姿を追いながら、ローズはそう思おうとした。
なぜか、心がきりきりと痛む。今、自分が安堵しているのか落胆しているのかも、よくわからなかった。
だが、とっさに出てしまった言葉はもう撤回できない。
こんな男と踊るくらいなら、厨房で皿洗いでもしている方がよっぽどましなのに……。
彼女の様子にも気付かず、デントはぱっと顔を輝かせた。
「どういう風の吹き回しだ? あんたからそんな言葉が聞けるなんてさ。もちろん任せとけって」
楽しみにしていたパーティは、どうやら台無しになったようだった。