ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜
涙をこらえるように、黙って目を伏せたローズを見つめるエヴァンの中に、抑えていた狂気にも似た激情が沸き上がった。
目の前でうつむいている彼女を強引に引き寄せると、自分の膝の上に抱えあげた。
驚いて顔をあげたローズの唇に、彼の唇が荒々しく覆い被さってくる。
彼女を罰したいのか、愛を訴えたいのか、その両方なのか、もう彼にもわからなかった。
ただ分かっているのは彼女を失いたくないという、気も狂いそうな切望だけだった。
今彼女を自分の手中にとどめておくことができるなら、その望むことにはどんなことであれ、嫌とは言わなかっただろう。だが皮肉なことに彼女はそんな類の女ではないのだ。
ローズは懸命に抵抗しようとしたが、次第にそれも難しくなってくる。
とうとう降参するように彼に身を預けたとき、唐突にエヴァンが顔をあげた。
彼女の気持ちの変化を感じ取ったようにその目が煌いている。
「ほら、君にもわかるだろう? ぼくらはお互いに必要としているんだ。離れることなんか絶対にできやしない」
こう囁きながら、再び彼女の唇を求めた。どんなに求めても満ち足りることはないようだった。逆にもっともっと欲しくなる。