ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜
ノックの音がして、外出から戻ったばかりらしい子爵がドアを開いた。
マーガレットが兄を見るなりくすくす笑い出したので、むっとしたように帽子を脱いで入ってくると、妹の耳を引っ張った。
「いつまでこんな所で油を売ってるんだい? 午後の授業時間だろう? 早く部屋に行きなさい」
「あたし、やっぱりミス・ハリスはあまり好きになれないわ。堅苦しくて取り澄ましたオールドミスそのものですもの。先生の方がずっとよかったのに。お元気になったら、もう一度教えてくださらない?」
「だめだね。第一ミス・レスターはもう君の先生じゃない。お義姉様になるんだろう?」
兄の言葉に、心から嬉しそうに肯いたマーガレットをローズが慌ててたしなめる。
「レディがそんなふうにおっしゃるものではないわ。でもわたしでよかったら、いつでもお教えしますよ」
妹をようやく部屋から追い出すと、エヴァンはわざと顔をしかめて傍に来た。