ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜
初夏の木漏れ日と爽やかな風のもと。
ウェスターの古い教会堂に立って、子爵は、牧師と書記とともに支度を整えてこちらに近づいてくる美しい花嫁を見守っていた。
誇らしげな正装のミッチェル伯父に手をとられたローズは、幸福そうに輝いて見える。
彼女は今、純白の絹の衣装を細い身体に柔らかくまとっていた。
髪はカールさせて結いあげ、レースのベールのついた帽子を被っている。
背筋を伸ばし顔をあげたその姿は気品に溢れ、貴族の奥方にふさわしいものだった。
祭壇の前に立って不滅の誓いを繰り返し、牧師が死が二人を分かつ時まで結びつける。
ついに、子爵が不動の誓いを込めて花嫁に口づけした。