ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜

 そして彼女の手を取り、椅子から立ち上がらせると、腕の中で回転させて自分の方を向かせた。

「晴れてレディ・ウェスターフィールドになったご感想は?」

「思ったよりも、怖くなかったわ。皆さんとても優しくしてくださったし……。こんなわたしでも、どうにかやっていけるかもしれないですね」

「もちろんさ。以前からそう言ってるだろう?」


 エヴァンが微笑んで、そっとローズの手をとり口づけた。

 彼女が強張っているのを感じ、優しく胸に引き寄せると、顔を手で包み込むようにしながら、顔中にキスの雨を降らせた。

 すでに彼女を求める思いが、どうしようもないほど膨らんでいたが、ぐっとこらえて顔をあげ、再び問いかける。


「緊張してるよね?」

「ええ、それは……」

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