ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜

 見つめ合う二人の瞳の中に、瞬間様々な思いが去来した。

 ここまで来るために、数々の痛みを乗り越えなければならなかった。

 だがそれを越えなければ、二人がこれほど固く結ばれることはなかったかもしれない。

 ずいぶん多くの時間を費やした。だが、確かにそれだけのことはあったようだ。


 ローズの目から銀の雫が一筋、伝い落ちた。

 子爵は指先で優しくそれをぬぐい去り、再び熱く激しいキスで彼女を満たし始めた。




    ~ fin ~
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