ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜
「ロンドンの社交界ってすてきなパーティがしょっちゅうあるんでしょう? それにオペラ観劇! ああ、あたしもついに行けるのね」
なんて開放的な人。わたしとは正反対だわ。なぜか憎めなかった。微笑んで頷くローズに、メアリーがつけ加えた。
「あなたにもいいお話があるみたいね。お父様が話していらっしゃったわ。明日が楽しみよね。それじゃ、あたし失礼するわ」
メアリーが出ていった後、ローズはますます複雑な面持ちで暖炉の火を見つめていた。
だが、彼女のおかげで、心の迷いに結論は出た。
やはり、シークエンドへ行こう。