ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜
chapter 5

 翌日のお茶の時間、ローズはキングスリー夫妻に呼ばれ久しぶりに部屋から出た。足取りもしっかりし、もうすっかり回復している。

 メイドに案内されて客間に入っていくと、キングスリー夫妻と息子のジョージ、メアリーの他に、当の牧師らしい人物がすでに座っていた。

 メアリーのローズに対する敵対心は、どうやら昨日で消えたようだ。

 悩んだ末だったが、ローズにとってこのお茶会は、久しぶりの社交的なむしろ楽しい時間とさえ言えた。

 ウォリス牧師は話題が豊富で学識も豊か、まじめそうな人物だった。

 時々ローズを見ながら、ていねいに話しかけてくる。主に学校のことや、村での生活のことだ。

 夫人のオーバーなもの言いも、おおむねローズをほめているもので、この話をまとめたいという思いが端はしに表れていた。

 牧師がたいそう楽しいお茶の時間だったと述べて帰ってしまうと、夫人は目を輝かせてメアリーとローズに言った。

「とても立派な方じゃないの。知識や教養も素晴らしいし、人格的にも優れた方のようね。ミス・レスターにぴったりだわ。向こうはあなたがお気に入ったようですよ。あなたはいかが?」
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