僕の可愛いお姫様
何処で何をしようと、予定があったわけでもない私達は、その後の時間をダラダラとお喋りで潰した。

大学での事、溜まる課題に苦戦している事、パートナーを目の前にしながらの莉世のノロケ。

たまにしか会えない友人達と浪費する時間は、その実、こういった時間こそが「幸せ」なのかもしれない。

大学は同じなのだから、会おうと思えばいつでも会えた。
実際に莉世とはいつも一緒だ。

それでも皆、「個人」である以上、時間を自由に出来ない事があるという事実。
高校生の頃とは違う、という現実に、私達は少しずつ気付き始める。

世間ではまだまだ子供だと認知される大学生。
それでも時間は待ってはくれず、実年齢だけが大人に近付く日々。

世界に順応する様に、私達は必死でもがいていた。

少しずつではあるけれど、共通では無い話題が増えるたびに、その話題が「面白い」と感じる反面、「寂しい」という感情も確かに感じていた。

生きている以上、生きていく以上、ずっと同じ場所に留まってはいられない。
仕方のない事だけど、今よりずっと子供だった頃、「この場所はずっと変わらない」と感じていた想いは、少しずつ形を変えていく。

そしてその感情を、愛しくも想っていた。
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