僕の可愛いお姫様
翌日。

喉が渇いていた。
私は普段、あまり飲み物を欲さない。
飲むよりも食べる派だ。
だけど時たま、一日の中で何度も喉が渇く時がある。
今日が、ソレだった。

大学内のコンビニに入って、ジュースを選ぶ。



「梅雨李。」

りんごジュースにしようと決めて、棚に手を伸ばした時だった。
背後からかけられた声に、ほんの少し、躰が跳ねた。

咄嗟に振り向いて姿を確認しても、私の鼓動はまだ早い。

「なん…だ…もう…びっくりし「此処に居たんだね。探したよ。」

言い終わらないうちに言葉を重ねられる。
急いでいるのか?
大事な用事でもあったのだろうか。

「梅雨李。あのさ、今から俺の部屋、おいで。
梅雨李にどうしても渡したい物があるんだけどさ、持ってくるの忘れちゃって。
出来るだけ早く渡したいんだ。
『何か』は、まぁ、見るまで内緒って事で。」

私の誕生日はまだまだ先だ。
渡したい物って何だろう?
突然のプレゼントに、心が躍るのは、しょうがないと思う。
親しい間がらなら当然だ。

私は、その誘いを受けた。
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