僕の可愛いお姫様
無理矢理にでも瑞穂の叱咤を終了させる様に、莉世は早口で言った。

「っ…、別に泉じゃなくったって…。」

瑞穂は莉世に何かを反論しかけて、けれど直ぐに「もういい。」と言って、口をつぐんだ。

「うん、そうだよね。泉だけじゃなくて、瑞穂や莉世にも迷惑かけないように注意するね。
ごめんね、瑞穂。」

私の言葉に、瑞穂は反応しなかった。

「気にしないの。いつもの事だから。」

莉世の気遣いに、私は曖昧に笑って見せた。
私だって言われっぱなしは悔しい。
反論したい事はいくつも頭を廻るけど、だけどどこかで「瑞穂が正しい」という事も解っていた。
思考は言葉にならないまま萎んで、やがて消えていく。
そうしていつも莉世に助けられる、の繰り返し。

「莉世、ごめん…。ありがと。
それから瑞穂も…ありがとう…。」

「気にしないの。」

優しく肩を叩く莉世の掌が温かくて、自分の不甲斐なさに繰り返し落ち込んだ。
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