僕の可愛いお姫様
「ごめ…なさ…い…。」

掠れた声で謝罪を述べる彼女に、眉を潜めて微笑んだ。

「今日初めて聴く君の声が謝罪なんて哀しいなぁ。どうせ君の声なら、もっと甘い言葉なら、嬉しいんだけど。」

髪にそっと触れると、俺のパーカーの裾を掴んで、ふわりと見上げられた。

「すき…。」

「…っ」

怯える様に彼女から引き離した躰は、条件反射か。
罪の意識に飲み込まれてしまいそうで、そうか…俺は、怖かったんだ。



「あー、やっぱやめ。今の無し。君の声でなら、もう何だっていいよ。」

不思議そうな瞳で見る君の無邪気が、この二人だけの世界をどんどん狂わせていく。
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