僕の可愛いお姫様
「つゆ…り…。梅雨李…おいで。」

数メートル先の君に呼び掛ける。

そっと開けた瞼。
眠たそうに、未だ宙を虚ろうその瞳にさえ、嫉妬を憶えた。

「梅雨李。何度も言ってるでしょう。君は本当にイケナイ子だねぇ。それとももしかして、俺に意地悪しているの。」

子猫の様にいそいそと近付いてくる彼女が焦れったくて、
立ち上がり、自ら彼女に近付く。

疲れ果てたみたいに、呆けた様にゴロンと横になる彼女の耳元で、囁いてみせた。

「君のこの世の始まりに、その瞳には必ず一番に俺を、いや…いつだって俺だけを映してくれ。」
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