僕の可愛いお姫様
一瞬で意識を手離した奴を、足蹴にした。

手応えの無い奴。
何の覚悟も無いくせに、のこのことやってきて、何の修羅場も起こさずに、人生を終えようとしている奴。

つまらないな。
それで、誰が、大切だって?

反吐が出る。


案の定、弱々しい足取りで、梅雨李が玄関にやってきた。

「今………。」

そんな彼女に、所謂お姫様抱っこというやつをしてあげて、リビングまで運ぶ。

「なーんにも無かったよ。ただの宗教の勧誘。」

「で…も…私の事…。」

「空耳だよ。梅雨李は物凄い幻聴を聴く様になってしまったんだね。
大変だ。しっかり栄養摂らなくちゃ。」

おどける様に言ってみせて、梅雨李をゆっくりと下ろす。
そして、鎖で繋ぎ、足枷もしっかりと付けた。

「ごめんね。ちょっと仕事が出来た。
パパッと済ませて、ちょっと出かけてくるよ。直ぐに戻る。

一人の間、寂しい想いをさせるのは嫌だから、少し眠っててくれるかな。」



充電切れの人形の様に、パタリと倒れ込む。

このスタンガンには本当にお世話になった。
信頼のおける友人だ。
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