僕の可愛いお姫様
何度も伝えようと試みた。
馬鹿みたいに部屋で一人、告白の練習をした事だってある。
更に馬鹿みたいなのは、告白の練習相手は専ら枕だった事。
練習回数が増えるごとに、枕にでさえ愛着が湧いてきた事。
その練習成果を発揮させる事も無かったのだから、枕も浮かばれないだろう。
今、同じ空間に存在する梅雨李と枕。
あの練習風景は、梅雨李には死んでも言えない。
枕に口が無くて良かった、とまた馬鹿みたいに思った。
伝えられないその想いは、時間が解決してくれると思える程、大人にはなれなかった。
だからあの日、突然現れた泉にも、その申し込みを受けた梅雨李の判断にも憎しみが湧いたのは、単なる八つ当たりに過ぎない。
なぁ、泉。お前はあの時、あの時点で梅雨李の一体何を知っていたんだ。
ソレを受けた梅雨李。
こんなに近くに居ても、数年間の俺達の思い出を持ってしても届かなかった俺の想いは成仏出来ないまま、ポカンと宙に浮いていた。
「一目惚れ」という理由で、言葉を交わす事もなく、一つの思い出も持たず、あっさりと奪われた恋が、成仏出来る筈も無かった。
どうして云えなかったんだろう。
こうなっても尚、どうして梅雨李じゃなきゃ駄目なんだろう。
憎しみはいつか、自分への物へと変わっていた。
馬鹿みたいに部屋で一人、告白の練習をした事だってある。
更に馬鹿みたいなのは、告白の練習相手は専ら枕だった事。
練習回数が増えるごとに、枕にでさえ愛着が湧いてきた事。
その練習成果を発揮させる事も無かったのだから、枕も浮かばれないだろう。
今、同じ空間に存在する梅雨李と枕。
あの練習風景は、梅雨李には死んでも言えない。
枕に口が無くて良かった、とまた馬鹿みたいに思った。
伝えられないその想いは、時間が解決してくれると思える程、大人にはなれなかった。
だからあの日、突然現れた泉にも、その申し込みを受けた梅雨李の判断にも憎しみが湧いたのは、単なる八つ当たりに過ぎない。
なぁ、泉。お前はあの時、あの時点で梅雨李の一体何を知っていたんだ。
ソレを受けた梅雨李。
こんなに近くに居ても、数年間の俺達の思い出を持ってしても届かなかった俺の想いは成仏出来ないまま、ポカンと宙に浮いていた。
「一目惚れ」という理由で、言葉を交わす事もなく、一つの思い出も持たず、あっさりと奪われた恋が、成仏出来る筈も無かった。
どうして云えなかったんだろう。
こうなっても尚、どうして梅雨李じゃなきゃ駄目なんだろう。
憎しみはいつか、自分への物へと変わっていた。