僕の可愛いお姫様
傍に居られるだけでいいとか、梅雨李が幸せならそれでいいとか、俺は莉世の想いに応え、莉世を愛し大切にしていくだとか、そういう常識の糸が切れた時、もう限界だった。

莉世に対しても、限界だった。
「莉世の想いが」じゃない。
その想いとはすれ違っている自分の想いと、俺自身の「最低に」、だ。

ずっと気付いていた事実に、ソレが壊れ始めた俺に、ソレは重た過ぎた。

壊れる音を真横で聴きながら、莉世を抱き締める。
壊れる事の無い親友の顔をして、梅雨李の傍に居る自分、
壊れ始めている事に気付きもしない、正当な恋人、泉と梅雨李。
全てに反吐が出た。

壊れる音に恐怖しながら、だったらそんな物は自身の手で壊してしまおうと思った。

何があってもずっと変わる事のない、「梅雨李を手に入れたい」、「梅雨李を守りたい」。
その想いさえ確かなら、もう何も要らない。

そう決心した時には、迷いなど無かった。
どうしてもっと早く気付かなかったのかと思うくらいに、晴れやかな気分だった。
< 222 / 227 >

この作品をシェア

pagetop