僕の可愛いお姫様
今でも少しだけ、後悔している事がある。

莉世の気持ちを、莉世よりも強い想いで受け止めていれば、莉世を傷付ける事もなく、
己の感情に怯える事なく梅雨李に伝えていれば、親友を壊す事もなく、
あいつよりも…泉よりももっと早く伝えていれば…世界を…この世界を壊す事もなく………

なんてキリもなく考えていた。
繰り返し、キリもなく、何度も繰り返し、考えていた。

それなのに、梅雨李を閉じ込めたこの世界を、梅雨李以外の失ったもの達への後悔は、無かった。

シナリオの結末がどうあれ、確かな想いは、梅雨李さえ居ればいい。ソレが変わる事はない。
全てを失った世界で、梅雨李の心臓の音だけが正しく俺を導いてくれる。

其処に一切の光が無くとも、君が居る。
全ての過去が消えてしまっても君が居る。

「なんだ…やっぱりちぐはぐだな…。」

自分で自分に苦笑いしながら、もう誰にともなく呟いた。
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