あたしが愛した人
沈黙が続いた。



みんな何か言いたそうだが、口が開いてすぐ閉じてしまう。

私も何も言えず、ただただ下を向くばかりだった。




廉造は渡邊蒼を睨み続け、渡邊蒼もじっと廉造を見ていた。

廉造が口を開けようとした瞬間、サッキーの隣にいた女の子が口を開いた。


「蒼、帰ろ?やっぱ…邪魔しちゃ悪いよ。」


そうだよそうだよ、と言って渡邊蒼の友達が帰る用意をし始めた。


私達は何も言えず、ただ彼女達を眺めるだけだった。





渡邊蒼は大きく溜め息をついてその場を立った。
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