今ここにいる
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…嘘ついたんだ
彼女は俺に嘘をついた
待ちに待った修学旅行で俺は事実を知った
最悪な形で
自由行動の待ち合わせ場所に向かう途中、視線の先に彼女を見付けた
手を振ろうにも彼女は一人じゃなかった
俺の知らない男と話をしてたんだ
近くにいた名前も知らない女の声が聞こえてくる
『あ、あの二人、戻ったんだ〜』
『仲良かったもんね、そう言えばなんで別れたんだろう』
『お似合いなのにね』
聞きたくないのに、ペラペラ話す声が耳に入り込んでくる
彼女に前付き合ってた男がいたって不思議じゃない
今だってたまたま会って話しているだけかもしれない
くだらないヤキモチ
立ち去ろうと思った時、耳障りなお喋りの続きが聞こえた
『私、前に見ちゃったんだよね、あの二人がラブホから出てくるとこ』