今ここにいる
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『悪ぃ…待たせたな』
『ううん、平気』
さっきまで俺の知らない男と話していたくせに、いつも通りに振る舞う彼女に無性に腹が立った
『早く行こ』
『さっきのヤツと行けば?走ればまだ追い付くんじゃねぇ?』
『…何言ってるの?別に彼とは…』
『ラブホいっちゃうくらいラブラブだったんだろ』
彼女は驚いた顔のまま、何も言わない
『清純そうに見えて、ちゃんとやることやってたんだ…、もしかして今も二人で会ってたりして』
『そんなわけないっ…』
『じゃなんで嘘なんかつくんだよ』
『それは…』
…ほらな何も言えないんだろ
『そんなに信じられないのっ?』
『ああ信じられないね』
…小さな嘘でも見逃せないのは、信じきれないのは
きっと彼女のことが好きすぎるから