今ここにいる
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改札を通り過ぎると、タバコを片手に背中を丸めた彼の姿が見えた
よそ行きとは思えないジャージ姿
たった一週間…されど一週間…
どんなに会いたくても、どんなに触れたくても、この日のために毎日頑張ってるのに
可愛く見せたい
もっと愛してほしい
そう思うのはいつも私だけなんだ
大好きなブランドの店で一目惚れしたワンピ着て、それに合わせるミュールを買うために三軒もハシゴした
それなのに
こうして寝癖のついた彼と並んで歩くと、余計に惨めになる
お洒落なレストランなんて到底無理で、いいとこファミレスかと思ったら
脇目もふらず彼のアパートに着いてしまった
変に勘の鋭い彼のことだから、私の出掛けたいオーラに気付いてる
『なぁ機嫌直してくれよ』
…どうせいつも口ばっか
『そんなに怒ることじゃないだろ』
…ちょっとは困ればいいんだ
ほんとうは抱き付いて、彼のねこっ毛にキスしたい
それを必死で堪えた
『…っ…』
耳元で、私の名前を呼ぶ愛しい声
後ろからきつく抱き締めてくる腕
どんなに暴れても無駄な抵抗だってわかってる
だって大好きなんだもん
胸が苦しくて
伝えたい言葉と
わかってほしい言葉が
一気に溢れた
・・・・・・・・・・・・・・・・・・〆