ナミダ色片想い
「あー、そういえば。」
もう一度座り直した美沙。
わたしは首をかしげた。
「千夏のそういう話って聞いたことないなぁ。」
「そういう話って?」
「好きな人の話、とか。」
胸が高鳴った。
わたしの本当に好きな人。
それが晴矢だと知ったら美沙はどうするんだろう?
美沙は優しいから身を引くかもしれない。
でも彼への思いが強くて思い悩むかもしれない。
「千夏?」
そんなこと、させたくない。
「……いないよ、そんな人。」