ナミダ色片想い



「あー、そういえば。」

もう一度座り直した美沙。

わたしは首をかしげた。

「千夏のそういう話って聞いたことないなぁ。」

「そういう話って?」

「好きな人の話、とか。」

胸が高鳴った。

わたしの本当に好きな人。

それが晴矢だと知ったら美沙はどうするんだろう?

美沙は優しいから身を引くかもしれない。

でも彼への思いが強くて思い悩むかもしれない。

「千夏?」

そんなこと、させたくない。

「……いないよ、そんな人。」



< 15 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop