ナミダ色片想い
「なにも、して、ない。」
小さく深呼吸した。
「そっか…。」
「うん。なにもなかった。」
自分に、言い聞かせてた。
だから、彼の表情を見てなかった。
晴矢も、苦しそうな顔をしてること、知らなかった。
「もう、大丈夫なの?」
「あぁ。迷惑かけて悪かったな。あと、忘れ物。」
わたしが昨日忘れてきた荷物。
「ありがと…。」
受け取って微笑んだ。
彼も、笑った。
こんなに切ない気持ちが、あるんだ……。