ナミダ色片想い
「ありがとな。」
晴矢の家の入り口に着くと彼は笑ってそう言った。
わたしと彼の家はおとなり。
そしてわたしと彼はホントに小さな頃から一緒にいる幼馴染み。
「お礼はしてね。」
わたしも笑う。
「ははっ。千夏に礼するくらいなら他の女に金使うから。」
「うわー、ひどっ!」
ちょっとムカついて傘についた雨水を彼に向けて振り払う。
「おいっ!」
「自業自得です。」
そう言うとそのまま振り返り家へと歩き出したわたし。
雨はますます強くなった気がした。