ふくらはぎの女(ひと)【完】
「だって・・・なんか、かわいいでしょ?」

「は?何?誰がよ?」

「潤一郎さん」
 
「えええっ!?」

ここまでずっと黙っていた

祖母と叔母も加わり、

思わずハモってしまった。

三人分の「えええっ!?」

まったく理解不可能のまま、

しんと黙り込む私達に向かい母は、

「人間って、だってそうじゃない」

いたたた、と小さな声でつぶやきながら

体勢を整えた後、お得意の、

マイウェイな見解を語って聞かせた。

「どうしようもない時ってあるじゃない。

七転八倒するくらい苦しい時には、

やっちゃいけないってわかってても

やってしまう事って、

沢山沢山あるじゃない。

開き直ったり、思い直したり、

ぐるぐる葛藤するものじゃない」

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