ふくらはぎの女(ひと)【完】

『ふくろう箱』は淡い紫色の、

煎餅の詰め合わせが

入っていたような

真四角い箱だった。

そっと蓋を開けてみると、

中には確かに母の自作の歌通りに、

様々なふくろうが詰まっていた。

その中から小指の先ほどに小さい、

飴色のふくろうがついている

指輪を取り出して薬指にはめてみた。

ぶかぶかだった。

続いて、中指にはめてみた。

まだちょっと、緩かった。
 

「お母さんてば・・・指、太い」

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