ふくらはぎの女(ひと)【完】
うらやましいな、と言いながら
私の指に指輪をするりとはめてくれた。
母の指は確かにちょっとごつく、
触れるといつもさらりと乾いていた。
このふくろうの指輪は、
誰かにもらったものだろうか。
母が自分で買ったのだろうか。
いくつの時のものだろう?
これをはめて出かけた事は
あるんだろうか。
その時飴色のふくろうは母の指で
くるくると回り
母は何度も指の中心に
それを戻したりしたのだろうか。