ふくらはぎの女(ひと)【完】
(1)
つまらない宝物ばかりが、
押し入れの中からざくざく出てきた。
その宝物がしょうもなければしょうもないほど、
当時の私には苦しくて仕方がなかった。
亡くなった人の遺品整理というのは、
感傷的になってどうしようもない。
あれに似ている。
あの、「お骨拾い」というやつ。
真っ白なお骨を、ただ黙して拾い、
壷におさめる。
あの作業も感傷的になったが最後、
泣けて泣けて仕方がない。
出来る限り事務的に、
骨より染み入る深い、真っ白な気持ちで
進めなければいけない作業。