ふくらはぎの女(ひと)【完】
しかし、よくよく思い返せば
確かに母は何かにつけて、
「娘子ちゃんが結婚したら」
とか
「赤ちゃんを生んだら」
とか言っていた。
母は、私の花嫁姿が
見たかったのだろうか。
孫が抱きたかったのだろうか。
たぶんきっと
そうだったんだろう。
口に出した事は
一度もなかったけれど。
飴色のふくろうを
中指にはめたまま、
私はゆっくりと
両手で自分のお腹に触れた。
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