ふくらはぎの女(ひと)【完】
初めて行ったのは
十七歳の夏休みだった。
なぜか生理が
十日以上経っても終わらず
貧血でくらくらになりながら
診察を受けた。
「生理が終わらないんです」
と症状を説明すると、
もの凄いじいさんの医者に
「生理ではない!
それは出血と言うんじゃ!」
と、
なぜだかさっぱりわからないが
どえらい剣幕で怒鳴り散らされた。
最悪だった。
だから今回は前回心に誓った通り、
二駅離れた別の産婦人科に
行くことにした。
辿り着くまでの間
何度も息苦しくなり、
私はそっと深呼吸を繰り返した。
笑い過ぎず、しゃべり過ぎず、
黙り過ぎず。
普段通りを心がけて
邦男と本屋の前で別れた。