ふくらはぎの女(ひと)【完】
そっか、そっかと
帰り道、
邦男は何度か
つぶやいた。
そのたび私も
うん、うんと
相づちを打ちながら、
つないだ手を
てろてろと揺らし、
のんびりと歩いた。
「なんか急に腹減ったなぁ
・・・娘子は?」
「減った。ぺこぺこ」
川沿いの道を歩くと
涼しい風がいっそう強く、
少し肌寒く感じるほどだった。
空腹のせいか、
肌寒いのに薄着のせいか、
なんだかお腹の辺りが
すかすかする。
「どっかでメシ食って帰ろう」
「うん」
しかし、近所のラーメン屋で
炒飯と餃子をぺろんと平らげ
満腹になったというのに、
やはりお腹の辺りだけが
いつまでも妙に心許ない。