ふくらはぎの女(ひと)【完】
「私、冷え性だしね。
・・・季節を問わずに
すぐ冷えちゃう」
「春の夜はまだ
けっこう寒いしな。
あんまり油断して
薄着でいると、
風邪ひくよ」
「うん。そうだね」
そう答えながら私は、
思わず笑ってしまった。
「なんで笑ってんの?」
「だって・・・だって邦男
『お母さん』みたいな事
言うんだもん!」
「え?
お母さんじゃないだろ?
俺はあれだ。
ハンサムなハムスターの
スピカだ」
生真面目な顔をして言うから
私はますます笑ってしまった。