ふくらはぎの女(ひと)【完】
もう、一年前のように
毎日涙に暮れたりは
しないけれど。
それでも常に私と共にある
母とのさまざまな記憶。
ごちゃまぜの。
他愛もない。
肝心な。
しょうもない。
忘れていた。
忘れられない。
くだらなく、けれども時に
張り裂けそうになるほど
いとしい。
この押し入れに
つまったもの達に、
限りなくよく似たすべて。
「夫婦になったら
今度はちゃんと、
できるように子供作ろうね」
「そうだね。作ろう」